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迫る東京オリンピック!今こそ、あの「パクリ疑惑」のモヤモヤを解消する(1)

何が問題だったのか?

想像してほしい。

あなたが、この事件の当事者だったとしたら。

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あなたはどんな対応をしただろうか?

あなたはこの騒動を、どう分析しただろうか?

そして、最後にどんな判断を下しただろうか?

 

東京オリンピックエンブレム、パクリ疑惑」。

何が本当の問題だったのか?

その本質を突き止めることにしよう。

 

この連載を読めば、あなたがあの事件に抱いている

「結局どういうことだったんだろう?」という思いを、

スッキリさせることができる。

あなたが「モヤモヤを抱えたままでも東京オリンピックを100%楽しめる!」

と言うのなら構わないが、もしそうでないなら、読む価値のある記事になるだろう。

そして、著作権や炎上対策について、人とは違う見方ができるようになると思う。

 

ことの発端

先にお断りしておくと、筆者はこの事件についての関係者ではない。

この件についてメディアに出ている以上の情報を知りうる立場にはない。

誰もが知っている情報を元に、私なりの知識と考え方で分析をしたいと考えている。

いわゆる❝危機管理専門コンサルタント❞の方々が言う内容とは、

かなり違った内容になるだろう。

 

事件の始まりは、2015年7月24日。

日本中が東京オリンピックに向けて慌ただしく動いている中で、

ついに大会の公式エンブレムが発表された。

アートディレクター・佐野研二郎氏が制作したもので、

応募104作品の中から選ばれたものだという。

 

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エンブレムの発表会見では、佐野氏自身の口から、

「いつの日かオリンピックのシンボルを作るのが夢だった」

「選手の皆さんにも練習して成果を残そうと思われる存在にしたかった」

「1964年の東京オリンピックのマークを承継したいという思いも込めた」

といった内容の言葉が語られた。

 

ちなみに、これが1964年の東京オリンピックのエンブレムである。

 

会見直後の時点では、この若きデザイナーの制作したエンブレムは、

世間でおおむね好意的に受け止められていたと思う。

 

パクリ疑惑の浮上

ところがその後、このエンブレムに“パクリ疑惑”が浮上する。

7月27日、ベルギーのデザイナー、オリビエ・ドビ氏が、

2年前に自身がデザインしたリエージュ劇場のロゴデザインと

「驚くほど似ている」とSNSに投稿したのだ。

 

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ここから急にネット上の発言がザワつき始める。

「あれ?あのエンブレム、パクリだったんじゃないの?」と。

 

そして7月31日、ドビ氏の弁護士が、

IOC(国際オリンピック委員会)と東京大会の組織委員会に対して、

エンブレムの使用停止を求める書簡を送ったことが報道された。

 

どうするべき?

ここで改めて、あなたに問いたい。

もしあなたが、大会の組織委員会の責任者だったら。

どのような対応をしただろうか?

 

コンプライアンスは重要な問題なので、法律の専門家を呼んで分析する?

スピード感のある対応が大切なので、すぐに調査委員会を発足させる?

説明責任を果たすべきなので、事実関係を調査した上で会見を開く?

本人にも聞き取りをする?

(「佐野さん、あなた実はパクってましたか?」と聞いちゃうのか!??)

 

組織委員会の対応

実際の組織委員会(以下「組織委」)の対応はどうだったのか?

あれだけの騒動に発展したのだから、

「さぞやお粗末な対応だったのだろう」と考えている人も多いのではないだろうか。

 

組織委は、7月31日付で以下のコメントを発表した。

東京2020エンブレムについては、IOCの規定上必要とされる手続きを踏まえ、

 発表前にIOCと共に国内外における商標調査を経た上で決定したものであり、

 組織委員会としては問題ないと考えています。

 IOCも同じ見解と承知しています」

 

そして、佐野氏からも組織委を通じて

「報道されている海外作品についてはまったく知らないものです。

 制作時に参考にしたことはありません」

「海外出張中のため、コメントを出すことが遅れてしまい申し訳ありませんでした。

 帰国後、皆様にご説明できる場を設定させていただきたいと考えております」

といったコメントが発表されている。

 

そうなのである。

組織委は、結構しっかり対応しているのだ。

コンプライアンス的に問題ないように、世界中で商標調査を済ませているのである。(そりゃそうだ。これだけのビッグプロジェクトで、やらないわけがない。)

根拠に基づいてしっかり説明もしており、説明責任も果たしている。

(その上、後で会見も開いている。)

それに、海外の一人のデザイナーが投稿したに過ぎない内容に、

4日後には反応している。

決して❝迅速❞とは言えないにしても、当人の佐野氏が海外出張中という状況で、

日本の巨大組織の対応としては、十分にスピード感のある対応と言えるのではないか?

 

少なくとも、この時点までの組織委の対応は、❝お粗末❞なんてことはない。

非常に❝まっとう❞だ。

 

では、なぜ騒ぎはさらに拡大していったのか?

組織委はどこでどんなミスを犯したのか?

 

次回以降の記事で明らかにしていきたい。

「自分が当事者ならどうしただろう?」と想像しながら、付いてきてほしい。

 

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